生殖補助医療(ART)
体外受精(IVF)・顕微授精(ICSI)
ivf-icsi体外受精とは
体外受精は、卵巣から採取した卵子を体外で精子と受精させる治療です。
受精した卵(胚)を培養し、発育した胚を子宮内に移植したり、将来の移植に備えて凍結保存したりします。
1978年にイギリスで世界初の体外受精による赤ちゃんが誕生して以来、体外受精をはじめとする生殖補助医療(ART)は世界中に広がりました。現在では、体外受精によって生まれた子どもは世界で1,300万人を超えると推計されています。
日本でも体外受精は広く行われており、2022年4月からは一定の条件のもとで保険適用となりました。2023年には、日本で生まれた子どもの約8.6人に1人が生殖補助医療(ART)によって誕生しています。
このように、体外受精は現在では決して珍しい治療ではなく、妊娠を希望する多くの方にとって治療の選択肢のひとつとなっています。
日本産科婦人科学会では、妊娠を希望する健康な男女が避妊をせずに性交をしているにもかかわらず、1年間妊娠しない場合を「不妊症」としています。ただし、年齢や検査結果、既往歴などによっては、1年を待たずに検査や治療を開始することが勧められる場合があります。
治療は、タイミング法や人工授精などの一般不妊治療から開始し、治療経過に応じて体外受精へステップアップすることがあります。一方、年齢や卵巣予備能、卵管の状態、精液所見などによっては、一般不妊治療を経ずに体外受精をご提案する場合もあります。
女性の妊娠する力は年齢とともに変化し、一般に年齢が上がるにつれて妊娠率は低下します。特に35歳以降ではその傾向がより明確になります。そのため、年齢やこれまでの治療経過によっては、一般不妊治療を長期間続けるよりも、早めに体外受精へのステップアップを検討することが、妊娠・出産の可能性を高めるために重要な場合があります。
一方で、体外受精を始める適切なタイミングは年齢だけで決まるものではありません。卵巣予備能(AMH)、精液所見、不妊期間、これまでの治療歴、希望されるお子さんの人数やライフプランなどによって、一人ひとり異なります。
当院では、検査結果やこれまでの治療経過、ご希望を踏まえ、それぞれの方に適した治療方法をご提案します。体外受精を始めるべきか迷われている方も、まずはお気軽にご相談ください。
体外受精の流れ
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卵巣から卵子を取り出す(採卵)
採卵を行うためには、複数の卵胞を発育させ、採卵に適した状態まで成長させる必要があります。そのため、排卵誘発剤を使用して卵巣を刺激する「卵巣刺激」を行います。
卵巣刺激には、PPOS法、ロング法、ショート法、アンタゴニスト法、低刺激法など、さまざまな方法があります。また、排卵誘発剤をほとんど使用せず、自然周期で発育する卵胞から採卵を行う方法もあります。
卵巣刺激に対する反応には個人差があるため、年齢、AMHなどの検査結果、胞状卵胞数、過去の治療歴や卵巣刺激への反応などを参考に、患者さん一人ひとりに適した刺激方法を選択します。
卵胞が十分に発育したことを確認した後、卵子の最終成熟を促す薬剤を使用し、採卵を行います。採卵当日は、経腟超音波(エコー)で卵胞を確認しながら、腟から細い採卵針を刺して卵胞液を吸引し、その中から卵子を回収します。採卵時の痛みを軽減するため、採卵時は麻酔を使用することができます。
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体外で卵子と精子を受精させる
採卵によって回収した卵子と精子を用いて、体外で受精を試みます。
受精方法には、主に一般体外受精(IVF)と顕微授精(ICSI)の2つがあります。- 一般体外受精(IVF)
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採卵した卵子の周囲に調整した精子を加え、精子が自ら卵子の中へ入り受精することを期待する方法です。精液所見やこれまでの治療歴などから、一般体外受精で受精が期待できる場合にのみ行います。
- 顕微授精(ICSI)
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顕微鏡で確認しながら、1個の精子を細い針を用いて卵子の中へ直接注入し、受精を促す方法です。精子の数や運動性などに問題がある場合、過去の体外受精で受精率が低かった場合、採取できた卵子が少ない場合など、通常媒精では十分な受精が期待しにくいと判断される場合に検討します。
受精方法は、採卵当日の精液所見、採取できた卵子の状態や数、これまでの治療歴などを総合的に判断し、患者さんと相談したうえで決定します。